2016年12月08日

京都・無鄰菴(むりんあん)(2016.11.28)

無鄰菴?有名な南禅寺に近い、京都市営地下鉄の蹴上駅から歩いて数分という場所に在る。京都市の管理下に在り、造園業者が指定管理者となっている庭園と建物だ…

無鄰菴は、明治・大正時代の元老、山県有朋が京都に滞在する場面で使っていた別荘である。軍人としての経歴を重ね、保守的な政治家でもあった山県有朋は、何か「武骨な人物」のような感じがしないでもないが、実は和歌や書道が得意で、邸宅を手に入れた場面では著名な造園家と打ち合わせて、自ら工事現場を観に行くことまでして凝った庭園を造るというような「意外な風流人」だったという…

この無鄰菴に関しては、京都市から仕事を請け負っている指定管理者が熱心であるようで、早朝から開園しているということを偶々知った…前日に大阪入りして「関西滞在」を始めた日は雨で動き悪かった分を取り返そうとでもいうように、早朝の薄暗い時間帯から動き始めて「大阪市営地下鉄 >> 阪急京都線 >> 京都市営地下鉄」と乗り継ぎ、無鄰菴が開く午前7時半には入口で入場を待っていた…

↓入口に近い辺りに、ここに滞在中の山県有朋が主に利用したという家屋が在るが…「大政治家の別荘」と聞いて思い浮かべるような大邸宅ではない…
'Murin-an', Kyoto on NOV 28, 2016 vol01 (6)
↑大きさとしては、夫婦2人とか、数人が住んでいるような住宅、または「文化人が一人住まいしているような雰囲気」な建物であった…

↓小さな建物に対して、広壮と言うでもない敷地のかなりの部分が庭園になっている…苔生した地面、木々、紅葉、水と、なかなかに風流だ…
'Murin-an', Kyoto on NOV 28, 2016 vol01 (3)
↑聞けば、手前の建物側に高めな木、奥側に低めな木という具合の「遠近法で広く視える」ような工夫が施されているのだという…

↓この種の庭園では、こういうディーテールが凄く美しく思えることも在る…
'Murin-an', Kyoto on NOV 28, 2016 vol01 (5)

↓「贅沢な邸宅」ということではなく、「大切な個人の時間をゆったり過ごす、居心地の好い場所」という感じがする無鄰菴だ…
'Murin-an', Kyoto on NOV 28, 2016 vol01 (11)

或いは「元老と呼ばれた大物の別荘」ということでは少々拍子抜けな感じがしないでもなかったが…実はそうでもない…

↓和風な建物の横に、2階建てで地味な洋風の建物が在る…
'Murin-an', Kyoto on NOV 28, 2016 vol01 (10)
↑1階も2階も、「誰かの普通の居室程度な広さの部屋が各々1つか2つ」という感じだ…1階では、庭園の管理に関することを紹介するビデオが流されていたが、階段を上がってみた…

↓2階はこういう部屋になっている…山県有朋が来客と懇談するような場だったことが判る…
'Murin-an', Kyoto on NOV 28, 2016 vol01 (8)
↑そしてこの部屋だが…“歴史”の舞台ともなっているのだ…

1903年4月21日…山県有朋の他、伊藤博文、首相の桂太郎、外相の小村寿太郎がこの部屋に集まった…4人の意見交換のテーマは対ロシア外交だった。そして交渉の進み方によっては「開戦も止むを得ず」ということに合意したのだという…

↓小ぶりな建物と瀟洒な庭園…「大切な個人の時間をゆったり過ごす、居心地の好い場所」という雰囲気の別荘だが…非常に重要なテーマが話し合われた場…正しく「大物の別荘」という感じだ…
'Murin-an', Kyoto on NOV 28, 2016 vol01 (4)

何となく眼に留めて訪ねた無鄰菴だったが、なかなかに興味深いものが在った…
posted by Charlie at 17:44| Comment(0) | HDR/2016年11月-12月の旅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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