所謂“灘”というのは、現在の西宮市の海側から、神戸市の東寄りの海側に拡がっている、嘗ては「灘五郷」という具合に呼び習わされていたという地域だ…聞けば、伊丹辺りよりも、酒造が盛んになった時期は少し遅い様子だが、江戸時代を通じて「沿岸を行く船を利用した広域流通網」が発展して行く中、灘は「船に樽の酒を積み込み、大消費地の江戸に売る」というビジネスを発展させ、江戸時代の終わり頃には伊丹等の他地域よりも大きな売り上げを誇るようになって行ったのだという…
滞在していた宿で、何となく辺りの情報を視て…「大阪から阪神電車で神戸三宮方向へ進むと、神戸市内の東寄りに相当する“灘”を訪ね易そうだ…」ということに思い至り、それを実行した…
阪神電車で魚崎駅に至った後、六甲ライナーという、ポートライナーと同じ会社が運営する“新交通システム”或いは“AGT”に乗り込んで南魚崎駅に至った…同じような“AGT”だが、六甲ライナーはポートライナー以上にダイナミックに港湾用地の水路の上になっているような場所を進み、かなり高い位置に停車するようになっていて面白かった…
↓<菊正宗>の記念館に至った…

↑趣深い古い建物を活かした記念館だった…
<菊正宗>は万治2(1659)年に興った酒蔵を起源と考えている、概ね350年以上の伝統を誇る老舗ということになる。灘では“丹波杜氏”と呼ばれる職工集団が活躍して、酒造の様々なノウハウを開発、蓄積して来た歴史が在るが、<菊正宗>は「生酛造り」と呼ばれる、より生命力が強い酵母を活かす手法を大切にしているのだという…
↓記念館の入口…奥には、酒造の歴史を伝える展示コーナー、「生酛造り」を紹介するビデオを上映している場所、売店が在る…

↓伝統の看板や、往年の容器が陳列されていた…

↑こういう感じ…好きだ…
↓建物の周囲の庭も雰囲気が好い!!

実はこの<菊正宗>の記念館だが、かの阪神大震災で大きな被害を受けてしまい、建物を数年がかりで復元した経過が在るのだという…兵庫県の沿岸部では、そうした「震災と復興と」という経過を辿っている箇所に存外多く出くわす。壊れてしまっても、何とか受け継がれたモノを伝えようと尽力した関係者の皆さんには、本当に敬意を表したい…灘の酒造に纏わる歴史を伝える場所では、壊れてしまった建物の他方で、何とか残った古くから受け継がれた資料(史料)を大切に取り出して、復元した場所でまた展示している…<菊正宗>で視掛けたモノの中にも、そういうモノが交じっていると聞いた…
↓<菊正宗>の近所に、都市緑地が整備されていて、桜がなかなかに好い状態だった…

<菊正宗>の傍の緑地を動き回ったのは昼食時辺りだったが…何か近くの小学校の複数の学年に及ぶと見受けられる児童の一団と、弁当箱や飲物が入った袋に敷物というようなモノを手分けして抱えた引率教員と見受けられる大人のグループが歩いているのを視掛けた…或いは、近所の小学校で「お花見ランチ」でもしようとしていたのかもしれない…
実を言えば、“有名銘柄”の<菊正宗>の酒は、これまで余り親しんでいなかったのだが…この記念館訪問を縁に、<菊正宗>に眼を向ける機会が増えたような気がする…
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