結局のところ…<稚内副港市場>を会場に、17時開演、18時開演と2公演体制で、火曜日を休演にする他は毎日やっていたので…2月7日に両方を観て、18時開演のモノの内容が気に入ったので、2月14日、2月21日にも観て、そして今日、2月28日も観たのだった…
この企画は…「ロシア・サハリンに近い稚内なので、彼の地の音楽家でも招聘して、来訪者の皆さんに歌や演奏を披露して頂こう…」ということから起こっている。
「来訪者の皆さんに…」ということで、来訪者が寄るだけの場所で行っているのであれば…あの「最終日の盛上り」は無かったであろうと思う。「誰でも出入り自由」な施設を会場に、大勢の“地元ファン”も集まって、彼らが「ローカル・アイドル」のようになっていたからこそ、「最終日の盛上り」が在ったのだと思う。
「来訪者の皆さんに…」ということで、来訪者が寄るだけの場所で行っているのであれば…「何か、何処かでロシアの歌い手を呼んで?あぁ、そう…別に興味無いし…」ということで、その存在を知る人も少なく、限られた来訪者が居る場所で何となく公演が行われていただけであろう…
しかし、<ルースキー・テーレム>に関しては、「誰でも出入り自由」な施設を会場にメインの公演を行う他に、市内の学校や幼稚園を訪ねるようなことを積極的に続けても来た…御蔭で…「うちの子が学校に来た<ルースキー・テーレム>を観たいと騒ぐので、<稚内副港市場>の会場に何度か連れて行く羽目に…」という家族も散見するようになっている…そして「普通の音楽好き」が「普通に愉しむ」ものにもなっている…
「最終日の盛上り」の中、小学生の“地元ファン”も存外に見受けられた。舞台脇で出番を待つ舞踊担当の若い女性メンバーに声を掛けて「握手してもらった!!」と昂奮している子どもまで見受けられた。「憧れのお姉さん」にキラキラした目線を注いでいる子どもが多かった…正しく「ローカル・アイドルのイベント」の会場である…
「来訪者の皆さんに…」ということで、「ロシア・サハリンに近い稚内なので、彼の地の音楽家でも招聘」と言っても…ハッキリ言えば、ロシアで「相当な知名度!!」と言える、“超一流芸能人”を招聘したにしても、日本国内では「知名度ゼロ」である。「ロシア・サハリンに近い稚内なので」と言ってみても、他地域からの来訪者としては「だから何?」であるかもしれない。今や“ワンス・アポン・ア・タイム”になってしまったが、嘗てのように「上陸ロシア人船員の一群が街をウロウロしているような様子」の方が、他地域からの来訪者にとっては余程「ロシア・サハリンに近い稚内」が「真に迫る」筈だ…
しかし…「稚内ではサハリンのミュージシャンを招聘していて、その人達がローカル・アイドル風になっていて…小さな街としては、少々驚く程に来場者が集まった中に入って…」ということなら…他地域からの来訪者にとって、「ロシア・サハリンに近い稚内」の「独特さ」、「独自性」を思い出に出来ることであろう…
そういう意味で…折角に“友好都市”でもあるユジノサハリンスクからやって来ているアーティスト<ルースキー・テーレム>について、「地元でも親しもう」という展開は素晴らしいのである。関係者の御尽力に大感謝だ!!
実際、「お集まりの皆様の温かい目線の中で力を尽くし…」と最後の挨拶の一部に在ったが…ロシアの文物を紹介しながら、ポピュラーなヒット曲を取り入れるようなステージは大勢の人達に愛されていると思う。
私自身、方々に“来訪者”として出掛けるが…ハッキリ言えば「来訪者の皆さんに…」ということで「囲い込まれる」ようなモノは、必ずしも潔しとしない。地元の人達が、「一度位は行く」という名所や、「来訪者も地元の人も、誰でも利用する」というサービスが好い。そういう中にこそ「地元なり」な「独特さ」、「独自性」が見出せて、それが巧く説明出来ようが、出来まいが「換え難い想い出」になって記憶されるのである。そうした記憶が、“増頁式アルバム”のようにどんどん厚くなって行くことが、「人生の実り」の大切な要素のように個人的には思う…
↓これは“バヤン”という楽器だ…
↑「ロシアのアコーディオン」ということになるだろうか…不思議な動きで音が出るのが見た目に面白いのだが、「微妙な哀感を帯びた歌声のよう」と感じられる、何とも名状し難い好い音がする…
<ルースキー・テーレム>では、リーダーのアンドレイ・メリニチェンコさんがこの“バヤン”を演奏する。彼は「最終日の盛上り」の後、余韻に浸るような観衆に言った。
「どんな天候の日(※2月中の公演で、強風が吹き荒れた日や雪の日も在った…)でも、この素晴らしき会場には多くの皆さんが足を運んでくれた。皆さんの温かい目線の中で力を尽くすことが出来た。また幼稚園や学校にも随分お邪魔したが、それも我々にとって忘れ難い経験だ。今般のプロジェクトは終わりだが、だからと言ってもう会えない訳ではない。また会うことを願って止まない。新たな出会いの時まで…ごきげんよう」とである…
ロシア語には“別れの挨拶”は大きく2種類在る。大学でロシア語を受講し始めた頃、或る教授が言っていた表現を借りるが、「戦地に行く若い兵士が、愛する女性に告げるような“別れ”の言葉」(=二度と生きて会えない可能性が在る別れ)の言葉と、「普通に“また会いましょう”」という言葉が在るのだ…この両者を絡めて、「もう会えない訳ではない。また会うことを願って止まない」とするのは、“ロシアの流儀”では“定番”とも言えるのだが、「好きな流儀」である…
普通に考えて…週1回の休演で、2回のメイン公演を毎日行い、他にも学校や幼稚園を訪ねるようなことをするのは、なかなかに大変だが…それを立派にこなした<ルースキー・テーレム>の面々に「ありがとう!!」と申し上げたい…
↓2月7日の模様…(下記をクリックすると写真を御覧頂ける…)

↓2月14日の模様…(下記をクリックすると写真を御覧頂ける…)

↓2月21日の模様…(下記をクリックすると写真を御覧頂ける…)

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