日本国内で狭義に用いる方の“文化財”だけでも、実に多くのモノが在る訳だが…そうしたモノの中で「学校の教科書に記述が在ったり、写真が載っていた」というようなモノ…何か「格別!!」なような気がする。
宇治に在る平等院鳳凰堂は、その「格別!!」な“文化財”の一つと言って差支えないと思う。更にこの平等院鳳凰堂は、日頃使う“10円硬貨”の「日本国」の文字と「十円」の文字との間に図案が刻まれている。或いは平等院鳳凰堂は、「格別の中の格別」というモノかもしれない…
大津を訪ねた後、京阪京津線が乗入れる京都の地下鉄で京都市内側に入り、そこから京阪電車に乗って宇治を訪れた。
大津でクルーズ船を利用した際、ガイドによる説明を聴いた。「琵琶湖から流れ出る唯一の川である瀬田川は、京都では宇治川と、大坂では淀川と名を換え、やがて水は大阪湾に注ぎます」とである。宇治駅を出ると、その宇治川に架けられた宇治橋が眼前に現れ、橋を渡ってから川に並行するように少し進むと平等院の入口に至る…
↓これが平等院鳳凰堂だ…
↓屋根の上の鳳凰に因んで“鳳凰堂”と呼ばれるようになったという…創建時は“阿弥陀堂”、または単に“御堂”と呼ばれていたという…
↓鳳凰は、鋳物に金を貼っているようだ…
↑貴重な“本物”は別途保管で、来訪者が屋根の上に認める鳳凰は、精巧なレプリカであるそうだ…
この平等院は“寺”なのだが…何か「神社」とか、「御屋敷」というようにも見える…一寸独特な雰囲気だ…
鳳凰堂に関しては「一寸違う!!」という話しも在るらしいが、平安時代の高位貴族の屋敷に見受けられた“寝殿造”に準じた形式が見受けられるようだ…宇治という土地は、平安貴族が別荘を営んでいた例が見受けられた地域であったという。この鳳凰堂だが、これは“宇治殿”と呼ばれていた、藤原道長の別荘を、その後継者で息子の藤原頼通が寺院に改めたというのが起こりであるらしい。なるほど「御屋敷」なのである…そしてこの鳳凰堂は、最盛期を迎えていた“摂関政治”の中心的一族の栄耀栄華の片鱗を伝えるものでもある…
平等院鳳凰堂は、創建時に“阿弥陀堂”と言ったように「阿弥陀如来を収める堂」だった。これが設けられるに至ったのは…1052(永承7)年が「末法の初年」とされていて、その“末法”を回避する願いを込めて“阿弥陀堂”を設けることとしたのである。1053(天喜元)年に“阿弥陀堂”は落慶した…
↓堂内には阿弥陀如来坐像が安置されている…堂の扉の一部から阿弥陀如来の貌が微かに覗く…
↑阿弥陀如来坐像は、当時は最高の評価を得ていたという仏師、定朝が制作を手掛けたと伝えられているという…
↓阿弥陀如来が鎮座する鳳凰堂は、正面以外の角度から視ても、なかなかに美しい…
この美しい姿…「西方極楽浄土をこの世に出現させたような」ものを意図したのだという…
「西方極楽浄土をこの世に出現させたような」ものをここに設けるに至ったのは何故なのか?当時、「釈尊の入滅から2000年目以降は仏法が廃れる」という末法思想が広まっていて、天災や人災も発生していた中で「極楽往生を願う」という「来世の救済」を求めようとする志向が起こり、それが強まっていた。殊に貴族たちが、そうした考え方の故に、西方極楽浄土の教主とされる阿弥陀如来を本尊とする仏堂を盛んに造営していたという。
現在は鳳凰堂として知られるこの“阿弥陀堂”も、正しく「末法思想の故に貴族たちが造営していた阿弥陀如来を本尊とする仏堂」そのものということになる…
↓この鳳凰堂を視ていると…或いは「前面の池に映り込む姿」も考慮に入れて設計したのではないだろうか、という気がしてきた…
↑建物そのもののデザインも秀逸なのだが、これは「映り込み」との“ペア”で更に映えるように思う…
平等院鳳凰堂だが、この2年程は覆いが被せられて修理中だった。今年の3月に修理工事が終わって公開が始まった。或いは、修理工事が終わった直後に「一寸した話題」になるであろう時期を過ぎ、「少し落ち着いた」辺りで、修学旅行の団体等が殆ど居ない学校の夏休みに相当する時季に、ここを訪ねる機会を設けられ、ゆっくりと美しい姿を眺めることが出来たのは幸運だった…尾廊という部分には未だ覆いが被っているが、正面の美しい姿は普通に視ることが出来るようになっている。近年は、有名な場所に関して「修理工事中」という例も時々視るが、貴重な文化財は時折修理もしながら後世に受け継がなければならないものであろう…
↓平等院鳳凰堂に立寄った8月1日の画…

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