音威子府(おといねっぷ)―随分と昔、初めて見た時には読めなかった…―という地名…如何にも「古いアイヌ語が転訛したものに漢字を充てた」という語感で、北海道以外では考え難い雰囲気の地名だ…この地名はアイヌ語の「オ・トイネ・プ」(河口・土で汚れているもの)に由来し、音威子府川が天塩川に合流する地点が泥で濁っていたことからの命名とされている…
音威子府駅は、嘗ては天北線と宗谷線が交差する駅だった。そうした時期が在ったことを伺わせるのは「3本のホームが残っている」という状況だけだ…天北線も廃止されてから、何時の間にか四半世紀も経ってしまっている…現在では、宗谷線の列車が発着するのみの駅である…
音威子府駅は内陸の山間に在る…最近、この駅に関しては早朝に稚内駅を発って名寄駅へ向かう南下する列車、早朝に旭川駅を発って稚内駅へ北上する列車がそれぞれ長めな停車をする際に、「外の空気に触れる場所」というイメージが私の中では強い。稚内駅からの列車も、旭川駅からの列車も比較的多く利用している。それらの列車は、殊に「“青春18きっぷ”シーズン」、更に絞り込むと冬季に利用する場合が目立つ…
サハリンのユジノサハリンスクからの国際線で新千歳空港に下り立つことになった際…「旭川まで出て、夜を明かして、“例の普通列車”で稚内に北上するのが好い」と考えた。
“例の普通列車”と呼ぶ旭川からの早朝の列車は、札幌から朝出る特急が着くよりもやや早い時刻、「正しくランチタイムの少し前」に稚内に着くことが出来る。眠い早朝の出発とはなるが、「車内で寝ていても、確り稚内に連れて行って貰える」という状態だ。稚内駅に着いた時に寝ていても、顔馴染みな駅員さんでもやって来て「毎度どうも…着きましたよ…」と声を掛けてくれるであろう…と勝手に思って安心している…そこで戯れに“ワープ”と呼ぶが、「寝ている間に、少し長い停車をする駅の近く」という状態で移動するので、「速くないのに早く感じる」訳だ…
ユジノサハリンスクからの国際線は、気侭な航空会社の“機材繰り”とやらで、予定よりも3時間も遅く新千歳空港に着き、旭川には日付が変わる少し前に着くような状況だった…そして朝を迎えて北上だ…
↓音威子府に着いて、車輌の後ろ側に出るとこういう具合になっている…
![12295414315_1848d0184d[1].jpg](https://mirage-hdr.up.seesaa.net/image/12295414315_1848d0184d5B15D-thumbnail2.jpg)
↑走行時に後方の雪が跳ね上がり、車輌後方に雪が付着する…温度が氷点下10℃近い時のような状況下、雪は粒子が細かくサラサラなので、こういう具合になる。この「車輌後方への雪の付着」を視ると、雪の多寡が判ると同時に雪の状態も判る…
↓跨線橋に上がってみる…
![12295904734_4afbf44575[1].jpg](https://mirage-hdr.up.seesaa.net/image/12295904734_4afbf445755B15D-thumbnail2.jpg)
↑右が旭川から北上の列車で、左が稚内から南下の列車である…遠くの針葉樹林も雪を被って白くなっているが、氷点下10℃かそれ以下の冷え込みだった…
この辺りで普通列車として活躍している車輌は、国鉄時代最末期に登場しているキハ54だ…旧い新幹線等の座席を順次車内に据え付けるということをしていて、乗る車輌毎に座席配置が違っていて「今日はどれが?」というのが、乗車時の一寸したお楽しみだ…
キハ54の列車2本が待っている中、稚内駅から旭川駅を経て札幌駅へ南下する特急列車がやって来て、音威子府駅に停車する…乗降が済んで特急列車は南下を再開する…
↓ホーム上の駅名看板である…
![12296117246_c3d24eaaf9[1].jpg](https://mirage-hdr.up.seesaa.net/image/12296117246_c3d24eaaf95B15D-thumbnail2.jpg)
↑JR北海道の駅の標準的なスタイルだ…微妙な雪の積もり方が好い…
山間の音威子府駅周辺は雪が多い地域でもある。「多い」と一口に言っても、シーズン毎に様子は違う…今季の場合、12月や1月前半は「当地としては少な目?」と感じたが、2月を迎えてみれば「一寸…多いなぁ…」という具合になっている…以前には、12月で既に「妙に雪が多い…」と思えたシーズンも在った…
↓旭川・稚内間の列車は、旭川駅で鮮やかなオレンジの地に白い文字のサイドボードを掲出している。旭川駅を発つ前に係員が登場して、サイドボードを付けている…
![12295717953_69a6e6794d[1].jpg](https://mirage-hdr.up.seesaa.net/image/12295717953_69a6e6794d5B15D-thumbnail2.jpg)
↑北海道内の駅では、国鉄時代以来と見受けられる書体の「縦書き仮名文字駅名表示」が在って、その下に“サッポロビール”のロゴが貼って在るケースが目立つ…
何か、「如何にも北海道の小さな駅」という風情が漂う…特急列車が去った後、音威子府に着くのは“後”なのだが、この旭川から北上していた列車が“先”に出る…そして、“先”に音威子府に着いていた列車が“後”から南下の続きを始めることになる…
何度出くわしても、思わず写真を撮ってみたくなるのが、この音威子府駅の光景である…
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