3月22日の鹿児島は早朝から好天に恵まれ、午前中はかなり歩いた…やがて雲行きが怪しくなってきて、雨がパラパラと…
昼食を愉しんだ後、繁華街の天文館に至った辺りで、雨は少し強まった…
いい加減な時間を歩き回り、「何処かで一息…」と思い始めた辺りで雨…何気なく喫茶店を探した…
↓程無く、アーケードの隙間の雨で湿り始めた路地に、「喫茶店然」としたオレンジの看板を視付けた…
![8637396894_e2e429e57c[1].jpg](https://mirage-hdr.up.seesaa.net/image/8637396894_e2e429e57c5B15D-thumbnail2.jpg)
↑「LIME LIGHT」(ライムライト)…ステージ用の照明のことだ…何か「渋い!!」名前だ…
店構えは…何か「老舗のバー」を想起させる雰囲気であった…一瞬「夕方から開店?」と想わないでもなかったが、朝から夜まで営業している喫茶店で間違い無いようだった…営業中であったから、路地にオレンジの看板も出ていたのだ…
扉を開けて入ってみる…ダークブラウンな内装…カウンターで、店員さんがハンドドリップで珈琲を淹れていて、テーブルが幾つか在る…「適当な広さ」とも「適当な狭さ」とも表現出来そうな、なかなか居心地が良さそうな落ち着いた空間が拡がっていた…
店内の真ん中辺りに、2人または1人で陣取るのに良さそうな小さな円卓が在った…そこを使わせて頂いた…
↓白いユニフォームの店員さんがメニューを持って登場し、グラスの水も置いていった…
![8637398118_3640b6f567[1].jpg](https://mirage-hdr.up.seesaa.net/image/8637398118_3640b6f5675B15D-thumbnail2.jpg)
メニューを視ると…各種の珈琲とケーキ、珈琲とケーキのセットというようなモノばかりが眼に留まる…正しく「喫茶店!!」である…
各種の珈琲の中…眼に留めたのは“ノワール・ブレンド”である。この“ノワール・ブレンド”だけは、「普通の量」の他に「少量」を提供するようにもなっている…かなり濃厚なモノを想像した…多少長く歩いた身体を休め、少しの間雨を凌ぐことを考えていたので、この“ノワール・ブレンド”の「普通の量」と想われる方を頼んだ…
店員さんは丁寧に珈琲を淹れてくれている様子だった…陣取った円卓には、小さなスタンドが在って、卓上をスポットライトのように照らしている。何となく好い雰囲気だ…奥のテーブルに居た他の客が飲物を愉しみながら煙草を燻らせていた…確りと私が陣取った円卓にも灰皿が…正しく「旧き善き日本の喫茶店!!」である…
↓やがて出てきた“ノワール・ブレンド”をゆったりと頂いた…
![8637402306_619dbc0576[1].jpg](https://mirage-hdr.up.seesaa.net/image/8637402306_619dbc05765B15D-thumbnail2.jpg)
“ノワール・ブレンド”…「黒のブレンド」ということであろうか?所謂“フレンチ”や“イタリアン”というような、きつめの焙煎なのであろう。好い意味で「力一杯に珈琲らしい」感じの“苦味”が心地好く、その“苦味”の奥に「凝縮された珈琲の芳香」のようなものが感じられ、味が強い印象を与えてくれる…或いは、“エスプレッソ”等で供するような珈琲豆を、普通にハンドドリップで淹れるようにしているのかもしれない…
悠然と“苦味”が際立つ「らしい!!」感じの珈琲を愉しんでいたのだが…雨脚は弱まらない…傘でも求めようかと、店員さんに話し掛けて近所のコンビニについて教えてもらった…
鹿児島を発つことになっていた3月23日…天文館辺りを少し歩き回り…「今一度!!」とこの<ライムライト>に寄ってみた…
再び小さな円卓に陣取ると、前日の店員さんが迎えてくれたのだが…「昨日、傘は手に入れられたのですか?」と声を掛けてくれた。私は無事に折畳傘を入手し、モノは持っていたバッグに確り入っていると応えた。きっと、一見の旅行者と見受けられる客が、最初から「傘!?」ではなく「コンビニ?!」と妙な尋ね方をしたので、先方も覚えていたのかもしれない…
たまたま出くわして大変に気に入った“ノワール・ブレンド”を再び頂いた…そして気付いた…この<ライムライト>では、自家焙煎の珈琲豆を100g単位で販売していた…
実は…「豆から挽いて愉しむ珈琲」というものに嵌り掛かっていた中、
既に出くわした珈琲豆を入手していたが…ここでも「想い出の味」になっていた“ノワール・ブレンド”を求めてしまった…
↓これが土産に求めた“ノワール・ブレンド”だ…
![8636304767_1a302498d5[1].jpg](https://mirage-hdr.up.seesaa.net/image/8636304767_1a302498d55B15D-thumbnail2.jpg)
↑慎重に測った豆を袋に入れ、それを店名スタンプを押した紙袋に入れ、更にビニールで包んでくれる…こうして、鹿児島・天文館の喫茶店の珈琲は、桜が咲いていた鹿児島から約3,000kmも北の、未だ残雪の見受けられる稚内へやって来ることとなったのだ…
100gの珈琲豆…私のようにガブガブと珈琲を頂く者であれば直ぐに消費してしまうような量だが…防湿を意図したジップ付の袋に入れて大切に保存し、大事に使うようにしている…
実際…“ノワール・ブレンド”は“エスプレッソ”に使うモノのように見える豆であった…使う分だけ小さな電動ミルで挽き、専用ポットの湯でハンドドリップ…鹿児島・天文館の喫茶店の味が、稚内の拙宅で見事に甦った!!
↓<ライムライト>の円卓に載った“ノワール・ブレンド”…敢えてモノクロ写真を撮ってみたくなるムードが在った…
![8636303319_0390d14796[1].jpg](https://mirage-hdr.up.seesaa.net/image/8636303319_0390d147965B15D-thumbnail2.jpg)
何か…「鹿児島の粋人の密かな愉しみ」のような喫茶店を、こうして紹介するのもやや躊躇ったのだが…“ノワール・ブレンド”の苦味を噛み締めながら、何時の間にか「想い出多き街」になった鹿児島を振り返り、「何時か4度目の…」を目指す“道標”にでもしようと、記事を起こしてみた…
それにしても…こうした「渋い感じの旧き善き日本の喫茶店」は素晴らしい!!そして、そういう場所には“ノワール・ブレンド”のようなモノが似合う…